心臓病には多くの種類があります。
僧帽弁閉鎖不全、三尖弁閉鎖不全症、拡張型心筋症、肥大型心筋症、動脈管開存症…など。
疲れやすい・心音に雑音が混ざる・咳をする・痩せてきたなど様々な症状から発見される病気ですが、中には無症状のまま進行していく場合もあるため注意が必要です。
心臓病は悪化してしまうと元の健康な心臓に戻すことは難しいため、早期に発見し、悪化させないことがポイントとなります。
最も多くみられる僧帽弁閉鎖不全症を例に挙げて、検査と治療の一例をご紹介いたします。
僧帽弁閉鎖不全症
哺乳類の心臓は4つの部屋に分かれています。
それぞれの部屋は「弁」と呼ばれるドアの役目をするもので区切られています。
その中の1つに僧帽弁がありますが、これが何らかの原因(感染や圧力負荷、遺伝など)できちんと閉じなくなったこと(閉鎖不全と言います)で生じる病気です。
心臓の雑音とは
雑音は何が原因で聞こえるかご存知でしょうか?
簡単に言えば、正常とは異なった血液の流れによって発生します。
血液が、様々な原因で急加速・逆流・折れ曲がりと言った乱流を起こすと周りの組織を振動させるので、雑音が聞こえるようになります。
○僧帽弁閉鎖不全症になりやすい犬種
老齢の小型犬に多くみられます。
- トイプードル
- マルチーズ
- チワワ
- ポメラニアン
- シーズー
- キャバリア
- パピヨン
- ヨークシャーテリア
特に、キャバリアでは3〜4歳でほぼ半数、マルチーズでは7〜8歳で80%ほどが僧帽弁閉鎖不全症になると言われています。
○検査について
僧帽弁閉鎖不全症の原因は様々で、何が原因なのか、どの程度進行しているのかをしっかり見極めることが治療の成功に繋がります。
- 問診、視診、身体検査
心雑音の有無、肺の音に異常がないか、粘膜の色、脈圧の触知、運動不耐性、咳の有無など。 - 血液検査
治療薬の多くは、血圧や腎機能に影響を及ぼすため事前の確認が必要です。また近年では、血液検査で心臓の悪化度合いをみることも可能です。 - 血圧測定
持続して高血圧であると、腎臓・脳・眼に機能障害を引き起こします。 - 心電図検査
不整脈の有無、心拍数の確認などをみます。 - レントゲン検査
心臓や血管が大きくなっていないか、肺や胸腔に異常はないかなどの確認をします。 - 心エコー検査
心臓は動いている臓器なので、実際にその動きを見ることがとても重要となります。血液の流れ・速度、心臓の大きさ、動き方などをみます。
飼い主様と相談しながら、これらの検査を組み合わせて探っていきます。
○治療について
多くは、病気の進行度・重症度に合わせてお薬を飲んでいくことになります。
例えば、
- ACE阻害薬
- 強心薬
- 利尿薬
- 血管拡張薬
- 鎮咳薬
など。
もちろん副作用もありますので、定期的に動物の状態を確認しながら、一番身体に合っているお薬を組み合わせて飲んでいきます。