【イヌ】古くて新しい感染症!?犬ジステンパーについて③
2022.12.31 -[ご挨拶]
年末年始が不安な獣医師youです。
登場人物紹介
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:筆者です。お腹のタプタプが止まりません。
年末には美味しいご飯を食べ、こたつでゴロゴロ…する前に、診察があるのです。
年末年始も休まず診察します(宣伝)
:動物看護師長。おたアヒドグーのママ。週4日出勤です。
毎年、年末年始のお休みの日無しに付き合わされ、今年で4回目になります。
文句を言うのは諦めた模様。
:おたま。子育てマウント系幼児。プクプク4歳半児。
:アヒル先生。2歳児。いい感じに反抗期。
:ドグーさん。ミルクを飲んで(上からも下からも)出すだけの簡単なお仕事です。0.5歳児。
:子育てマウント系とは。アヒル先生ができないこと全てにマウントをとっていくスタイル。
早く走れる、ご飯きれいに食べられる、トイレに行ける…ドヤ
:訳あって集まってきた動物たち。
:家に誰かがいる時間が増えるので、嬉しいやら邪魔やらで複雑な心境と思われる。
我が家の警備員、つみれとうなぎ
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当院は、年末年始も診察しています。
(半日ずつではありますが…)
それは良いとして、どれくらい診察が来るか全く読めないんです。
日中は割と診察に来る方が多いのですが、特に夜間。
・一昨年→病院の外にまで並び、昼より混んでいるような状態。
・昨年→夜間の診察0(ゼロ)
極端すぎるんですよね。
さて、今年はどうなるやら…。
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ジステンパーについて書いています。
この単語、なんとなく聞いたことないですか
そう、いつもワクチンに入っているやつですよね。
3回目の今回は、実際にかかってしまった時にどう対処するかを解説していきます。
前回のやつはこちら
【イヌ】古くて新しい感染症!?犬ジステンパーについて①
【イヌ】古くて新しい感染症!?犬ジステンパーについて②
繰り返しになりますが、大前提として…
○根本的な治療法は存在しない。
以前も書かせてもらいましたが、ジステンパーウイルスに有効な抗ウイルス薬が存在しないため、「完治を目指せる方法が無い」と言うことを覚えておいてほしいです。
また、治療に関しても本当にその治療が有効なのか不明な場合もあります。
ここだけ聞くと、かなり絶望的な感染症のように思えます。
○治療の基本は対症療法
対症療法とは、「気持ち悪いなら吐き気止め」「下痢なら下痢止め」と言い方は悪いですが、その場しのぎの治療法となります。
ジステンパーの場合、具体的には…
・抗菌薬
ジステンパー感染症では呼吸器や消化器に炎症が起こります。
炎症によって傷ついたところから体内に菌やウイルスが入ってくること(二次感染)を防ぐために使用します。
・抗炎症薬
ステロイドを使用することで全身の炎症を抑えていきます。
感染症なのに、免疫が落ちるステロイドを使って大丈夫なのと思うかもしれませんが、今のところステロイドを使ったことで症状が悪化したと言う証拠はないんです。
・抗痙攣薬
ジステンパー感染症で怖いのは痙攣発作が起こるということ。
発作は長時間続けば脳に障害が残る可能性があります。
状況によってはずっと使い続ける必要があります。
・輸液
いわゆる点滴治療のことです。
下痢や嘔吐、鼻水や涎は脱水を引き起こします。
脱水はかなりしんどいものですので、しっかり水分を補充してあげないといけません。
○発症したら死ぬしかないのか
典型的な、呼吸器症状や消化器症状を起こし、さらに神経症状(痙攣発作など)を起こした場合はあまり良くない経過をたどることが多いです。
ただ、神経症状だけで終わる場合もあり、この場合は抗てんかん薬を使用し続けることで維持できることもあります。
○やっぱり予防が大事
ワクチンを打っておけば必ずしも感染防御できるわけではありません。
ただ感染の確率を下げたり、症状を軽く終わらせることはできるので、やっぱりワクチンは有効だと言わざるを得ません。
感染してしまった時のリスクと、ワクチンを打つことのリスクのどちらが高いのかを考えてみてください。
と言うことで、有名な病気なのにあまり知られていないジステンパーについて解説してみました。
次回も感染症のお話は続きます。
では、また来週
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知らなきゃよかった生き物の不思議
のコーナー
「アードウルフは○○○がボロボロ」
アードウルフって知ってますか
参考画像
ハイエナの仲間で、肉を引きちぎって食べそうな顔つきですね。
ただ、実際に食べているのはシロアリで、歯なんて使わないからボロボロだそうです。
大人になるまでに10本近く抜けてしまうそうです。
人間も歯は抜けたら生えてこないので、大事にしたいものですね。
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〜番外編〜
早いことで、本回で今年最後の回となります
毎年ですが、1年早いですね…
早すぎて、たまに昨日の出来事が何年も前の出来事のように思えてきます(ちょっと何言ってるか、分からないですね)
今年1年、「獣医師youのつぶやき」に遊びにきて頂き、ありがとうございました!
来年2023年も、獣医師you一家と当ブログをよろしくお願いいたします
皆様にとって素敵な幸せいっぱいの年越しになりますように
良いお年をお過ごし下さい
また来年お会いしましょう